漢文って「簡単、簡単!」って言われてるからどんどん後回しにしてしまう受験生が多いのですが、
実際ほとんどの人が基礎もできずに入試に突入してしまうのが多い科目です。
多くの人はセンター試験でしか漢文を使用しませんが、難関大学では漢文を本試験で問うこともしばしばあります。
こうした場合でも基礎部分の理解さえしっかりできていれば満点近くの点数を取ることが可能なのです。
簡単にできるから後回しにするのではなくて、簡単にできるからこそ早めに対策をして入試本番レベルの実力をつけておきましょう。
漢文の基本の勉強の仕方
- 句形・文法暗記
- 実践問題を解く
以上の2つのステップにわかれています。以下で簡単に2つのステップの説明をしていきます。
1,句形・文法暗記
必要期間:2ヶ月
目標:漢文に必要な句形を覚えて書き下し文が書ける
この段階では漢文に必要な句形・文法を覚えて自力で白文から書き下し文が書けるようにしていきます。
まず大事なのは句形、すなわち漢文における文法を覚えていきましょう。
漢文での文法はたったの10種類しかありません、また英語と同じ感じのものが多いのですぐに覚えられると思います。
下記に簡単にまとめておきます。
1.否定形
単純な否定のほかに、いくつかの助字を組み合わせた不可能や二重否定、部分否定などがあります。。
2.疑問・反語形
疑問と反語は見かけ上は同じなので、文脈でどのような意味になっているのかを確認できるように!
3.使役形
古文の使役の助動詞「しむ」を使います。
4.受身形
「〜れる」「〜られる」で訳される形です! 英語の受動態と似ています。
5.比較形・選択形
置字の働きを理解すること、また何と何が比較されているかを理解しましょう。
6.仮定形
「もし〜」「かりにもAならば〜」という形です
7.限定形
「ただ〜」という限定の意味に、否定を用いて「ただ〜だけでない」という累加の意味になる
8.抑揚形・累加形
抑揚はちょっと理解するのが難しいかもしれませんが、ただ暗記するだけでなくて何と何が比べられていて、その比べ方にはどういう意図が込められているのかを理解しましょう。
累加形はその名前の通りどんどん重なっていく形です。
9.願望形・詠嘆形
願望形は誰に対しての願望なのかを見抜くのが大事です。
詠嘆形は感情が入る部分です。反語や疑問形と形が似ているので違いを文脈で判断できるようにしてください。
10.比況形
これも比較の抑揚と同じように比較の一種です。何と何を比べているのかを理解して比較の構造を掴んでいきましょう。
漢字の読みを覚える!
この段階を効率的に行なうポイントは白文をみて文法構造を頭の中に思い浮かべながら何度も何度も音読することです。
確かに句形に使われる漢字を1つ覚えていったほうがはじめのうちは効率が良いのですが・・・
大学入試で問われるのが白文⇒書き下し文への変換が問われるということを考えれば、文脈から外れてただ覚えるだけでは意味がないことは明らかです。
何回も音読をして白文をみて無意識レベルで書き下し文が頭の中に思い浮かぶようであればこのレベルはクリアです。
白文から変換する時に送り仮名には注意してください。
どういう場合に送り仮名をつけるのか、ひらがなで書く必要があるのかはきっちりと決まっています。
2,実践問題を解く
必要期間:1~2ヶ月
目標:入試レベルの問題を解いていく
上記のレベルで句形を暗記したり、書き下し文をマスターしたら漢文の勉強はほとんど終わりです。
後は実際に入試レベルの問題を解いて、これまでの確認と重要語彙や頻出の出典を確認していきましょう。
漢文が圧倒的に得意になる厳選参考書
1,文法・句法参考書
このステップでは漢文の白文⇒書き下し文のつなぎを確実にできるようにしていきます。
漢文に使える時間は限られています。 効率的に漢文を入試で使えるレベルにするためには、英語同様に音読が効果的です。
白文を読んで、書き下し文が頭のなかに思い浮かぶように音読を繰り返していきましょう。
無意識レベルで音読することができたら、完璧です。
理解型参考書
三羽邦美の超基礎がため漢文教室
【対象者】漢文嫌い⇒理解できるレベルへ
【達成レベル】偏差値40~45
【おすすめ度】★★★★
漢文アレルギーで再読文字や返り点と言われてもさっぱりわからない人向けの本です。
こうした本当の基本を覚えて、上記の基本句形を使わないでも読める文章を取り扱っていきます。
紹介されている文章は三国志や背水の陣や矛盾の話など有名な話が多いので漢文嫌いでも読める内容になっています。
三羽の漢文基本ポイントはこれだけ!
【対象者】漢文の初学者が入試レベルの内容を理解できる!
【達成レベル】偏差値55~60
【おすすめ度】★★★★
学校で漢文を勉強していて漢文の言葉をしっている初学者が入試レベルの句形と漢字の知識をつけていくための参考書です。
0から入試レベルの問題を読めるようにしていきます。
センターだけ漢文を勉強する人はこれとセンターの演習のみでも問題ありません。
漢文ヤマのヤマ パワーアップ版
【対象者】一度学校で一通り漢文の勉強をしたことのある人
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★★
漢文の基礎は高校で勉強したことがあって 、センターレベルで出題される漢文の要点のみを学びたい人向けです。
要点のみと言っても、句形・返り点など漢文の基本的な部分はこれ一冊で勉強することができます。
例文は豊富ですが、センターレベルの実践問題は掲載されていません。
三羽先生の漢文の参考書はたくさんありますが、レベルは以下のとおりです。
【超基礎固め<漢文の基本ポイントはこれだけ≦漢文ヤマのヤマ】
「超基礎固め」は漢文を一度も触れていなくて、偏差値30レベルの人が使用する参考書です。
「漢文の基本ポイント」と「ヤマのヤマ」はほぼ同レベルですが、「基本ポイント」は句形だけでなく頻出の漢字も網羅しています。
ヤマのヤマは頻出の句形が多いです。
一目でわかる漢文ハンドブック
【対象者】漢文の学習の要点復習に!
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★
上記の漢文の句形の理解本を使用して、その後演習をしてもセンター試験レベルであれば十分高得点が期待できます。
ただし、効率的ではありますが、知識の抜け漏れが懸念されます。
センター以上の一般入試で漢文が出題される人は知識の総整理をこの参考書で行なうとよいでしょう。
この参考書の目次は以下のようになっています。
第1章…訓読(五文型、返り点、置き時、再読文字)
第2章…句法(90句型)
第3章…語法(同字異訓14字、同訓異字19字)
第4章…重要語(287字句)
第5章…漢詩
第6章…文学史・思想史
飯塚 漢文入門 講義の実況中継(上)(下)
【対象者】漢文の基礎と古文の復習も一緒にしたい人
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★
漢文の基礎から初めて勉強していきます。
レベルとしては漢文教室のやや上で始まってヤマのヤマと同程度までもっていけます。
飯塚先生は古文も教えてる方なので古文の知識が試される部分もあります。
基礎から始めるのに良書ではありますが、雑談や例文が人によっては気に入らないと感じられるかもしれません。
漢文早覚え速答法 パワーアップ版
【対象者】一度漢文に触れたことのある人で復習用に
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★
基本句形10、基本漢字100を一冊で網羅しているので、手っ取り早く漢文の点数を上げたい人にはオススメです。
センターまでの人であればこの参考書と問題演習のみで8,9割の点数まで引き上げることが可能です。
0から漢文を紹介しているわけではないので、漢文アレルギーの人は三羽先生の「基礎固め漢文教室」を行いましょう。
ドリル型参考書
上記の理解型参考書で漢文のいろはを覚えたら、確実に使いこなせるように反復学習用のドリルを使用しましょう。
早め早めの対策をして、夏までにこの段階まで来れるようにしておきましょう。
理解本を始めるのが遅くて、時間のない場合はこのステップを飛ばして演習に移りましょう。
基礎からのジャンプアップノート漢文句法・演習ドリル
【対象者】理解本で一度漢文の基礎を理解している人、
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★★
漢文の句形を1から網羅していて、復習をすることができます。
句形それぞれに豊富な例文があるためわかりやすい構成になっています。
また長文問題が付属しているので演習への接続がスムーズに進みます。
漢文句形ドリルと演習 ステップアップノート
【対象者】理解本で一度漢文の基礎を理解している人、
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★★
上記の「基礎からのジャンプアップノート」とほぼ同じです。
例文が上記の参考書のほうがやや多いくらいです。
実際に書店で見てデザインやレイアウトで決めてしまいましょう。
新・漢文の基本ノート―句形演習
【対象者】コスパを求める人
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★
上記の2冊と比べると使いにくいですが、句形の網羅度としてはほぼ同じです。
演習問題などは付属していないので句形の確認をさっさとしてしまいたい人にはオススメです。
なんといっても315円というのは、安すぎます!
2,読解用参考書
漢文読解用の参考書です。
センター試験までの人はここで紹介しているセンター試験用の参考書をやっておくとよいでしょう。
一般試験でも使用する人はセンター用の参考書1冊ともう一冊やっておいてください。
センター試験用
センター漢文出題パターン攻略―基礎知識から文章読解まで
【対象者】基本句形を身につけているけど、模試で漢文の点数が取れない人
【達成レベル】偏差値65
【おすすめ度】★★★★★
センター試験漢文の過去問をつかてどのように問題を解いていったら良いのかの視点を学びます。
問題形式ごとにどのような視点を持てば良いのかを確認できるので、問題を解く時にどこを見れば答えに導けるのかがわからない人にオススメです。
センター対策漢文問題集
【対象者】基本句形を身につけているけど、模試で漢文の点数が取れない人
【達成レベル】偏差値65
【おすすめ度】★★★★★
こちら上記の参考書と同様に出題形式ごとに問題を見ていきます。
上記の参考書よりも量が多いのが特徴です。
マーク式基礎問題集 漢文・センターマーク標準問題集漢文
【対象者】センター演習をたくさん積みたい人
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★
各予備の模試からの過去問題になります。
センターの過去問を終えて、もうやることがなくなったけど漢文をさらに固めておきたい人には有効です。
飯塚センター漢文講義の実況中継
【対象者】基礎レベル〜センター8割まで引き上げる
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★
基礎的な句形の確認から初めてセンター試験の過去問を使用して解き方を説明してくれています。
サブノートが付いているので長文演習部分を完璧に自分でできるようになったら、句形の暗記はこのサブノートでひたすら行なうと良いでしょう。
私大用・2次用読解問題集
本試験で漢文が出題される方はセンターレベルの対策では足りません。
以下の参考書で自分の大学の漢文レベルや出題形式、残り時間に合わせて行っていきましょう。
漢文 入試精選問題集
【達成レベル】偏差値65~70
【おすすめ度】★★★★★
掲載問題数が30題と豊富なことに加えて、レベルが段々と難しくなっていくステップアップ形式のため演習が不足している人であっても問題なく学習ができる。
解説も詳しく、なぜこの答えになるのか?どうしてこのような読解になるのかを疑問なく読み進めることができます。
最後の方になると苦戦する問題が増えてきますが、自分の今何ができていないのかがわかり基本的事項の確認になります。
漢文道場 入門〜実践まで
【対象者】漢文の基礎を学び演習も済ませている人、難関大学の入試で漢文を利用する人
【達成レベル】偏差値65~70
【おすすめ度】★★★★
基礎からとありますが、対象者はやや高めです。
本書は3部構成で基礎編、練成編、実戦編と難しくなっていきます。
初めの基礎編で基本的な句形の復習をしていき、次の練成編、実戦編ではオリジナル問題を含む全40題で演習をしていきます。
難関大突破 新漢文問題集
【対象者】基礎はバッチリでこれから難関大学の過去問の前に!
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★
過去問題に駿台側で手を加えて掲載されていて15題と駿台模試から10題です。
記述問題が全体的に多めです。
駿台模試からの実践問題のほうが過去問題よりも簡単めなので、まだ漢文に自信のない人はそちらから行なうと良いでしょう。
本文自体の難易度はセンター試験よりもやや難しいくらいです。
標準漢文 (実戦演習)
【対象者】漢文の難関大対策
【達成レベル】偏差値65
【おすすめ度】★★★
本文のレベルは上記で紹介している参考書と変わりませんが、 受験生が間違いやすい部分に絞って解説がされています。
そのため、効率のよい漢文の対策をすることができます。
得点奪取 漢文
【対象者】記述対策を徹底的にしたい方!
【達成レベル】偏差値65
【おすすめ度】★★★★
得点奪取シリーズの特徴である、記述問題に対しての細かい採点基準の掲載は漢文でも同様です。
河合の精選問題シリーズと同様に易しい⇒難しい問題というステップアップ形式になっています。
センター試験を受験でかつ本試験でも記述形式で出題される学部を志望している場合は、この参考書一冊でも対策ができるでしょう。
難関大突破 極める漢文
【対象者】漢文が得意⇒絶対的な得点源へ引き上げる
【達成レベル】偏差値60
【おすすめ度】★★★★
基礎習得済みでセンター試験の漢文であれば、9割〜満点が当たり前の受験生が、さらに高得点を習得できるようになるための参考書。
豊富な問題量の掲載だけでなく、「単語の読み・意味問題」「解釈・書き下し文問題」「理由・心情などの説明問題」など出題形式別にも解説がしてある。
“文章ジャンル別の展開パターン”や、“漢文の背景知識”など、類書ではあまり解説がされていない問題形式に対しても解説がされているのはポイントが高い。